葬儀代を亡くなった本人の口座から出せなかった例

祖父が亡くなって、葬儀屋さんと葬儀の打ち合わせをしていた時のこと。

ねこる)
「そういえば、葬儀代・・・どこから出したらいいんだろう・・・。
 亡くなると本人の銀行口座って凍結されちゃうんですよね?」

葬儀屋さん)
銀行に役所などから死亡の連絡が行くわけではないので、こちらから亡くなったと連絡しない限り凍結はされませんよ。それに、葬儀代分とか直近の必要な生活費程度なら降ろさせてくれる銀行も多いようですよ」

ねこる)
「あ、そうなんですね。良かった」

というわけで、祖父が晩年メインに使っていた某信託銀行に連絡したわけです。

銀行に電話、即・口座凍結!

ねこる)
「祖父が亡くなってカクカクシカジカ・・・で、葬儀代分を下ろしたいんですけど」

信託銀行)
「申し訳ございませんが、このお電話で亡くなったと承りましたので、口座は凍結させていただきます。当行の他支店にお持ちの口座につきましても、このお電話をもって凍結させていただきます。葬儀代等、一切のお引き出しに応じかねますのでご了承ください。」

でぇぇーっ!? やっちまった!

まさに「聞いてないよ!」でした。
Google先生に聞いても、「葬儀代だけは下ろせた」「50万までは下ろせた」なんてのを見かけたので、安心していたんですよ。
なのに。うちはダメだったのです! 引き下がろうと、他行の例を出そうと、ダメ。

なぜか?
答えは、蓋を開けてみれば簡単なことで・・・
『遺言状』
があったからなんですね。

我が家の祖父は、90歳を過ぎても自分で事業をしていた人。
不動産もローンもごちゃごちゃと色々ありまして。
数年前に(90歳になった年に!)、こりゃまずいと思ったのか、遺言状を残していたのです。
その遺言状を預かっていたのが、この信託銀行

死亡と同時に相続の手続きにはいるわけですが、相続の手続きに当たっては「死亡した時点での財産」の計算が必要になってきます。

相続人は誰と誰で、どういう風にわけて・・・という全てに裏が取れないと、一銭たりともお金を動かせない、というわけ。

ここで下手にお金を動かすと、相続で不利になったり、相続権を失ったり、もめ事のもとなので、たとえ他の銀行の口座でも故人(祖父)の口座からは葬儀代をださないように、と言われました。

葬儀代は誰が出すのか?

では、葬儀代は誰が出すのか?
まぁ、普通は親族が、となるのですが、我が家の場合は相続人(故人の妻・娘達)がみんな専業主婦ばかり。
じゃ、しょうがない私(孫・勤め人)が出すか・・・

と思いきや、信託銀行さんのアドバイスは
相続人の方がお支払いください
とのこと。
というのも、相続税を計算するときに葬儀代分は相続税の対象外になるんですって。

で、孫は法定相続人ではないんですねー。
この時点で遺言状の内容は聞いていなかったけれど、祖父の流儀を思えば、遺言状を開けたところで私が相続人ということは考えられず。
仕方ないので、我が家では祖母の貯金から葬儀代を支払うことになりました。

うちのお願いした葬儀社さんは後払いOKだったので、
祖母の銀行印・通帳・祖父の死亡診断書写し・葬儀社の請求書(祖母宛)・私の免許証を持って銀行に行き、銀行から介護施設に電話をして行員の方が祖母と何某か話しをし(孫が勝手にお金使おうとしてるんじゃないよっていう意思確認ね)、なんとか祖母の口座から葬儀社に振り込みすることができました。

ぶっちゃけ立て替えた方が楽だった・・・orz

祖父(故人)の他の銀行口座について

まっさきに信託銀行に電話をして、問答無用の口座凍結を食らったわけですが、
他の銀行の口座はどうしたかも書いておきます。

他の銀行には、結局電話をしませんでした。
なぜって?

 1. 取引銀行が多い。(緑の大手、赤の大手、ローカル、どれも複数支店 etc.)
 2. しかも、私が把握しているのが全てかわからない。
 3. 銀行の電話が通じる時間は私も仕事中。
 4. 一部の口座からは光熱費や税金の引き落としがかかっている。

ようするに、止める手続きも止めてからの対応も面倒だし、優先順位低めだったわけ。

特に死亡の連絡をしていないので、当然口座は凍結されず、光熱費などの微々たる支出が
地味〜に引き落とされていく状態でした。

結局、その他の口座が止まったのは、相続人全員が信託銀行に集まって相続手続きについての説明を聞き、信託銀行に遺言状の執行者をお任せします、という書類に全員のハンコが揃ってから。
信託銀行から各銀行に故人死亡時点での残高照会などが届き、全口座凍結となったのでした。
だいたい、祖父の死亡からひと月遅れくらいでしたね。

葬儀代金の支払いとは?

で、元に戻って、葬儀代の話。
ネットで見るに、確かに本人(故人)の口座から葬儀代を出させてくれる例はあるようです。
しかし、銀行といっても大手から地元密着のローカルまで色々あります。銀行によって、行内のルールも違うでしょう。
安易に「本人の口座からも下ろせるらしい」という情報を信じていると、痛い目をみることになりかねません。
(実際うちは下ろせなかったし、信託銀行はまず無理だと思った方が無難かも)

もし故人の財産が多く、相続税が発生する可能性があるような場合は、
相続人が葬儀代を支払うのが理想のようです。
相続税が発生するほどでないにしても、相続人が支払うのであれば「立て替え」て後で戻ってくるという考え方もできますね。

故人の財産がそれほど多くないのであれば、もう仕方ないですよね。
残された親族が支払う他ないでしょう。
葬儀代もピンキリですが、事前にしっかり探しておけば安くて満足のいく葬儀もできるはずです。

このご時世、残された親族だってそんな余裕ないよ、ていうことも多々ありますね。
そういう時のために死亡保険があるといいんだそうで。
死亡保険は受取人を指定しておけるので、相続が済むまで凍結! なんてことはなく、申請することで支払われます。もちろん、申請から受け取りまでにタイムラグはあるけれど。

この期に、葬儀代としての保険を検討してみるのも一案かもしれませんね。