祖父の新盆だったけど新盆法要やらずに済ましてしまいました

お盆休み、終わりましたねー。
みなさま、台風の中お仕事お疲れ様です。



今年は祖父の新盆でした。亡くなって初めて迎えるお盆です。
普通、新盆といえば「新盆法要」を菩提寺で営んだり、白い提灯を買って仏間に置いたり、玄関先に"ねこる家"なんて書かれた提灯を下げたり、するものですよね。
新盆法要にも地域差はあるようですが、お葬式ばりに近所の方や親族が集まったり、家族だけでそっと行ったり、いろいろなんだとか。

お盆の近づくたびに気になってはいたのですが・・・私にとって祖父は「初めて亡くした身近な親族」。そう、新盆だとかなんだとか、そういうことの一切を今まで見聞きしないで大人になっちゃったんですよ!
しかも、祖母は認知症。母は言語障害。二人とも私よりは多少なりとも人生経験があるはずなのに、その知識がほとんど頼れなくて。
いやぁ、参った。本当に。
この手の話って地域色も大きいし、いわゆる「正解」がないんですよね。
だからググってもいろんな意見がでてきちゃう。大事なのは、家族と、故人と、まぁせいぜい親族が納得のいく形にできること。でもその落とし所がわからない。

そんなわけで、今回私が振り回された(?)お盆について、簡単にまとめておきます。

7月お盆、8月お盆

お盆の時期が二つあるってことを、不肖ねこるは今回初めて知りました。
職場のお盆休みは8月だし、子供の頃から「帰省ラッシュ・帰省ピーク」の話題がでるのは8月だったし、普通8月でしょ? 違うの?
ところが、東京あたりでは7月にお盆をするところもあるんですね。

私の場合、植木屋さんから
「お盆は7月にされますか? 8月にされますか? お爺様の新盆のタイミングでお庭が綺麗になるように作業させていただきますが」
と電話をもらって初めて知りました。
 お盆=8月
と思い込んでいた私は、「8月でお願いします」と即答。
しかし、うちの菩提寺は7月にお盆法要をしていたことを後から知る orz

万事がそんな感じです。

菩提寺から届いたお便り曰く、
「東京では、7月にお盆を済ませ、8月は地元でお盆を迎えるという方が多いいようです」
とのこと。

もともと7月15日周辺に行っていたが、暦が旧暦から新暦に変わったことにより、もとのまま7月に行う地域(時期はひと月早くなる)と、8月にずらした地域(時期は昔のまま)が出てきた。というのがもとの由来のようですが、東京など都市部で7月お盆が多いのは、8月は地元でお盆を迎えるからと考えるとリーズナブルですね。

菩提寺からのお知らせは特になかった(我が家の場合)

お坊さんの数には限りがあります。特定の菩提寺をもつならなおさらです。
だから、お盆の法要は早めに予約しないと難しい、という話を聞いていました。6月くらいに、「もう今からじゃ難しいんじゃない?」と心配してくれた人もいたほど。
一方で、「新盆だから法要費用を*万円お持ちください」みたいなお知らせが菩提寺から届いた、というケースもネットで見かけました。

我が家はどうだったか、というと、・・・届きました。菩提寺からお盆法要のお知らせが。でも新盆法要ではなくて、毎年恒例のお盆法要のお知らせです。卒塔婆を依頼するための用紙が付いていました。卒塔婆1本で3,000-5,000円程度です。それだけ。
(これが7月だったんだなぁ・・・。後で見よう、と思っていて、気づいたら終わっていたんです・・・嗚呼)

我が家の場合は大きいお寺さん(ちなみに、浄土宗です)なので、新盆だけでも結構な数になると思うのです。だから、あえてお寺の方から「新盆ですよ」なんて声かけしていないんですね。
案外、そんなに大きくないお寺さんでは貴重な収入源なので、「新盆ですから法要しましょう!」とお知らせを出してくるのかも・・・なんて。
※これはねこるの個人的な邪推です。

我が家が新盆法要をやらなかった理由

さっきから、7月お盆を知らなくて菩提寺のお盆法要を華麗にスルーした話を書いておいて、いまさら「新盆法要をやらなかった理由」もへったくれもないだろう、という感じですが、一応我が家なりに「理由」があって「やらなかった」と思っているので、その理由を書いておきます。

1. 親戚が遠方に住んでいる

我が家の場合、祖父の 代で東京に出てきた人。祖父の兄弟や甥・姪の多くは祖父の地元に住んでいます。関東ではあるので、新盆法要にお招きすることも可能ではある距離なのですが、いかんせん高齢。東京に住んでいる祖父の弟さんも90歳(一人で電車に乗ってお葬式にきてくれたくらい元気ですが)。
兄弟仲もよかったので、新盆法要のお知らせをしたら、きてくれるか、来れないまでも何かしら包んでくれるか、というような方々ばかり。そうすると当然お返しが必要で・・・お互いにちょっと負担ですよね。
幸い「新盆法要に呼ばないなんてありえない!」ていう気配がなかった(=「新盆法要はやるの?」という問い合わせなどがなかった)ので、この方々に気を遣わせるのはやめよう、と思ったわけです。
今までも祖父母が親族の新盆法要に出かけて行った記憶はありません。
葬儀の時にも、「こういう時はお互い様。お互い負担が少ないようにしましょう」と言ってくれた方々。ドライです。おかげさまで本当に助かってます。

身近な親族として、祖父の娘の一人"おば"家族がいます。おばは身体の弱い人で、49日法要も土壇場で欠席になってしまったくらい。おばの旦那さんは超多忙なので、こちらも来るのは難しそう。そんなわけで、こちらも「新盆法要なしで、各々お墓まいりでどうでしょう?」という提案をあっさり受け入れてくれました。

これは、本当に親戚という集団の構成要素によって決まると思います。
「やらねばならぬ!」と思っている人たちと対決するのは大変です。こういう人たちと対決するときのコツは、「相手の事情・理由を聞く」「こちらのやらない理由を明確に説明する」「納得してくれない時はそれ以上議論しない」の3つしかありません。同じ日本語を話していても言葉が通じない人ってのはいるものです。くれぐれも戦いすぎて疲弊しないようにね。

2. 祖母と母、二人を一人で見られない

新盆法要を見送った最大の理由は、これです。
祖母は認知症気味ではあるものの、とても元気な人。とはいえ、少し足が弱っているので、転びやすい状態にあります。トイレなど一人で行こうとしますが、段差がある場所では誰かが見ていないと危険です。
これに加えて、母がいます。ほとんど支障がないとはいえ、脳梗塞の影響でやや四肢が弱っている母。また統合失調症の症状も不安定気味。ちょっとイライラしがちだったり、疲れやすかったりという状態。
この二人を一度に見るのは、正直きついなー。というのがありました。「なにか」があった時に対応できないんですね。かといって、法要のためにヘルパーさん頼むのも・・・
そんなわけで、生きている人間の安全と安寧を優先して、新盆法要は無理だなぁとなったわけです。

3. お仏壇がない

新盆法要は多くの場合、自宅にお坊さんを招いて、仏壇の前でお経をあげていただくことになるわけですが、我が家は何を隠そう仏壇がありません。だから、そもそもうちで法要をやるのにどうしたらいいの? てな状況だった、というのもあります。
仏壇についても、そのうち別記事で書こうと思います。

そもそも、何のためにやるのか?

新盆法要はなんのためにやるのか? という基本的なところは、実はググってもあんまり出てこないんですよね。初めて迎えるお盆なので、いつもより念入りに準備します、くらいのことしか書いていない。じゃあ、いつものお盆をちょっとグレードアップするだけでいいってこと?
そうはいっても、全くもって初めてのお盆・・・となると、なにをやっていいのやら・・・。見よう見まねでお盆ぽいことをしてなんとなく終わる、を繰り返しているとお盆文化ってあっという間に意味不明になりそうですね。そういう意味では、「新盆だ! どうしたらいいの!?」て調べるタイミングがあるのは「お盆について知る」いい機会と言えなくもない、です。

お盆にしてもお葬式にしてもそうですが、家族が亡くなった方や先祖について気持ちの区切りをつけたり、思いを馳せたり、そういう時間が本来なんじゃないのかなっと思います。
少なくとも、身内や親戚の間で外聞や見栄を気にしてやるものではないと思いますし、無理をしてやるものでもないと思います。

自分や家族が故人や先祖と向き合って、納得できる距離感であれば、形はどうであっても良いのではないかなぁと思う今日この頃です。