【実例】親が認知症(など)で高額商品を買い込んでしまった時の返品行脚物語

ずいぶん長いこと更新が止まっていました。おひさしぶりです、ねこるです。
更新が止まっていたのは、平穏だった証拠なのかなぁと、噛み締めています(遠い目)

たいへんでした。えぇ、本当に。

ここしばらく、母(統合失調症)の状態が不安定で、感情的になりやすかったりしていたのですが、まさかの「高額商品買い込み」の事態に発展してしまいました。

統合失調症の症状には、「判断力の低下」が見られることがあります。
我が家の母も、客観的に見たらおかしな買い物をよくします。
例えば、私が帰省した時。

母「夕飯の買い物してきたよ。あなたの好きなものもあるから、夕飯は家で食べましょ」
ねこる「いいよー」
母「うなぎでしょ、ステーキでしょ、すき焼きでしょ、お刺身でしょ、ます寿司でしょ、・・・あ、昨日作っておいたちらし寿司もあるからね!」

と、こんな風に、メインばかり何点も買い込んできてしまうのです。
そりゃぁね、大事な娘が帰ってくるから張り切ってご飯作っちゃおう! 
あれもこれも好きだったよねー。これも食べさせてあげたいわー。
という親心は、誰しもありますよ。でもね、それ全部買ってきても一度の夕飯では食べられない(=現実的ではない)から、普通はどれかに絞るわけですよ・・・。
判断力が低下している際の買い物は、「お母さん張り切りすぎてちょっと買いすぎちゃっったから、あなた持って帰りなさいな」なんてレベルではないのです。
でもまぁ、こんなん可愛いもんだし、ありがたく美味しくいただいて、食べきれない分はお母さん後で食べてね、てなもんで良かったのですが・・・

今週は桁が違いました。
なんと、腕時計ばかり6本も買ってきてしまったんです。
それも国産ブランドや某海外ブランドの40万もする時計まで!
総額・・・考えたくもない・・・。
これまでこんな買い物はなかったので、クレジットカードを持ってもらっていたのですが・・・さすがに今回は、顔面蒼白もんです。

幸い、6つのうち4つはラッピングも開封されておらず、レシートも残っていたので、返品を求めて実店舗に向かいました。
向かうは我が家から小一時間の店舗たち。しかも、我が家を中心として半径が片道一時間程度の距離、という円の中に点在する店舗たち。

本来、ブランドものや換金性の高い高額商品は返品ができないものだそうで、どこでもとても困った顔をされました。
そしてとても可哀想なものを見るような目で、「大変申し訳ないのですが、原則返品はお引き受けできかねます・・・」と言われてしまうのです。
あぁ、絶望。

とはいえ、事情が事情なのでこちらも必死です。
3つの店舗で実際に返品をさせていただいたので、その時のやりとりを簡単にまとめておきます。
なお、最初の2つは入院日に、最後の1つはその週の週末に行きました。

ケース1(デパートの時計・宝飾品売り場)

・国産ブランド時計1点 5万円程度 ラッピング未開封
・レシートあり
・現金決済
・購入の翌日

実家からもっとも近いデパートです。
やはり時計は原則返品不可、という説明を受けました。
こちらとしては以下の説明をしました。
「認知症と似たようなもので、判断力が落ちる病気。時計ばかりたくさん買ってきてしまった。現在は同症状のため病院に入院している。未開封なので返品できないか」
これが最初の一件目だったので、私のカバンにはラッピング済みの包みがいくつも入っていました。それが見えていたのも効果があったのかもしれません・・・。
数分待たされたものの、事情が事情なのでということで比較的簡単に返品・返金をしてくださいました。
現金決済だったことも、比較的簡単に手続きできた理由のようです。

ケース2(大手家電量販店1)

・海外ブランド時計1点 40万程度 量販店の紙袋の留シール未開封
・レシート(カード控え)あり
・クレジットカード決済
・購入の当日

こちらは、なんと入院日の朝に出かけて行って買ってきた時計でした。
まさかの海外有名ブランド。やはり原則返品不可です。
返品不可の理由は換金性の高さにあるそうで、偽物とすり替えられていたりするとお店としても大変な痛手だから。
ここでは、
「事情はわかるのですが、原則返品できないことになっておりまして・・・」
と、とても同情した表情で対応されました。
この『原則』という言葉が引っかかって、こちらとしては引き下がれません。
「医師の診断書があってもだめですか?」
と訪ねたところ、「診断書があるという前提で、診断書があった場合に返品可能かどうか」をもう一度上司に確認してくださいました。
結果、
・母(購入者本人)の免許証
・母の購入時に使用したクレジットカード
・私の身分証明書
の控えをとることで返品に応じていただけました。

ケース3(大手家電量販店2)

・国産ブランド時計2点 合計15万程度 ラッピングあり
・レシート(カード控え)あり
・クレジットカード決済
・購入日から直近の週末

上の二つが返品に応じていただけたので、これもなんとかなると思って出かけて行ったのですが、残念ながらその場での返品には応じてもらえませんでした
こちらの店舗でネックになったのは、クレジットカード利用者である本人がいないこと。
クレジットカード会社との取り決めで、本人でないとカード関係の一切の手続きができないとのこと。
それは(量販店1)でも同じだったと思うのですが、(量販店1)は上役の判断で私のサイン代筆に目をつむってくれたのだろうと思います。
(量販店2)はそれはできないとのこと。
母(本人)は現在入院中なうえ、外出許可が出ていません。なので、本人を連れてくることは「医師の許可がないので不可能」な状態です。
その旨を説明しても、ここではカード会社との取り決めを理由に受け付けてはもらえませんでした。
本人と一緒に返品に来られるとしたら、数ヶ月後・・・。普通、時間が経つほどに返品は受け入れてもらえなくなります。
ただ、この店舗では前の週にも時計を購入していて、たびたび時計を買いに来る母に対して、接客したスタッフの方が「ちょっとおかしいな。大丈夫かな?」という思いを抱いていたようで・・・
事情が事情なので、時計本体に手をつけないで保管しておいてもらえれば、1・2ヶ月後でも本人同伴なら返品に応じる
と言っていただきました。
というわけで、ここは母の外出許可が下り次第、母と一緒に店舗に行くほかなさそうです。

まとめ

認知症・統合失調症などの病気により、高額商品を大量に買ってしまうような状態が発生した場合、きちんと説明することでどの店舗も誠意ある対応をしてくれました。
ただ、対応の条件は店舗によって異なります。
おそらく、店舗だけでなく担当者によっても異なるでしょう。
店頭スタッフでは自分の判断だけで返品OK出せない場合があります。また、ほかの店舗が返品できたからといって、返品できない店があっても仕方ありません。

感情的にならずに、一つ一つ可能性を提示して、店舗スタッフに確認してもらうようにすることをお勧めします。

未開封商品とレシートは当然として、あったら良さそうなものを以下にあげます。

  • 購入者本人の身分証明書
  • 店舗に交渉にいく家族の身分証明書
  • 購入者と交渉者の続き柄がわかる書類
  • その店舗で使用したクレジットカード
  • その店舗のポイントカード
  • 医師の診断書など

成年後見制度などを活用することで、こうした高額買物のキャンセルは格段にしやすくなるはずなのですが、この制度にはまだ踏み出せていません。
今回の件を機に、次の退院までには成年後見制度も検討しないとなぁと思っているところです。
制度活用の検討をしたら、またレポートします。
以上、へろへろねこるでした。