介助者として、認知症のお年寄りとタクシーに乗って「ひやっ」としたこと

先日、祖母の健康診断に付き添って施設から病院までお出かけをしました。
行きも帰りもタクシーです。どちらも、とても親切で感じのいいドライバーさんで、基本的には気分良く過ごしていたのですが、行きも帰りも全く同じタイミングで「ひやっ」とさせられました。
実はこれ、統合失調症の母とタクシーに乗るときにも感じる「ひやっ」と。

そのタイミングは、「降りるとき」にやってきます。

 (写真:フリー写真素材フォトック

身体を動かしずらい人の座りやすい席

ひやっと話の前に、まずはタクシーの「席」についての話題を一つ。

我が家の場合、祖母は足が少し悪く、身体が硬いです。母も脳梗塞の後遺症もあって、少し身体を動かしづらい人です。
普通の方でも、お年寄りなら多かれ少なかれ、膝や腰などの柔軟性が失われているものですが、そういう人にとって、ちょっと大変なのが「座りながら横にスライドする」動き
つまり、タクシーなどの車の後部座席に乗って、奥の席まで詰める。あの動きが、しんどいんですね。
家庭用の乗用車では後部座席の足元がフラットなものも増えましたが、タクシーでは相変わらず、後部座席の足元中央には車のシャフトの出っ張りがボコッとあります。あれを乗り越えつつ、よいしょ、よいしょと横にスライドしていくのが、時間もかかるしちょっとたいへん。
そんなわけで、タクシーに乗る際は「座って、足をしまうだけ」の席、つまり助手席の後ろが楽なんですね。

結果として、私が母や祖母と出かける際は、まず私が乗り込んで、母や祖母が頭をぶつけないよう気をつけてあげながら、私に続いて乗り込んでもらう、ということが多いのです。

でも、これが、ときに「ひやっ」とを引き起こすのです。

待って! 開けないで! 降車時のひやっと体験

普段タクシーに乗っていてもよく思うのですが、こちらが財布を出すより早く、ドアを開けてくれるドライバーさんて多いですよね。
お札を放り出して走るように降りる人も中にはいるのかもしれませんが、私はいつも、あの無防備な感じを落ち着かなく感じています
外から丸見えだし、お財布を覗き込んでいるから視野は狭いし、あのタクシーの支払い時に、外からにゅっと腕が伸びてきて財布やハンドバッグを取られやしないか不安になったりとか、まだ払っているのに乗ろうとする人がやってきたりとか。なんか、落ち着かないんです。
せめても、払い終わってからとか、レシート渡してからドアを開けてくれればいいのになぁと、いつも思っています。

で、祖母や母が一緒の場合。
タクシーが目的地に停まって、まずドアが開きます。すると、母も祖母も降りようとします。どんなに「待ってて!」と言っても、降りていってしまうことがあります。私はお金を払わないわけにいかないので、すぐに追いかけることができません。これが、とても危ない時があるのです。

1度目のひやっとは、初めての病院に到着して、祖母がどんどん歩いて行ってしまい、迷子になりそうだった時。
2度目のひやっとは、施設の前に降ろしてもらい、勝手知ったる施設なのでこれまたどんどん一人で行こうとして、危うく段差で転びかけた時。
3度目のひやっとは、交通量の多いロータリーで、路肩に寄せきれずにタクシーが停まり、周囲への注意力が乏しい状態の母が周りを見ずに降りて他の車両と接触しかかった時。
などなど・・・実は何回かこういう経験があります。

一番多いのは2番目の例で、先に降りた祖母や母が路肩の段差でつまづくこと。幸いにも、今まではよろっとつまづく程度で済んでいるのですが、本当に転んでどこかの骨でも折ったらと思うと怖いです。
「支払い終わるまでドアを開けないでください」と事前に言うように心がけているのですが、ドライバーさんも習慣の動作なので、乗った時に言ってもダメなんですよね。
多少身体がしんどくて大変でも、奥に座ってもらう方がいいのかもしれません。難しいところです。今の所は、なるべく本人たちに無理がない乗り方で、降りる時だけくれぐれも気をつけて、という対応をしています。

ちょっとのことで、大きな怪我や事故を防ぐことができるはずです。
皆さんもくれぐれも気をつけて下さいね。